【国際政治】勢力均衡とは何?わかりやすく解説!

【国際政治】勢力均衡とは何?わかりやすく解説!

この記事では勢力均衡について詳しく解説しています。勢力均衡は国際政治や安全保障を考える上で非常に重要な概念です。特に国際政治理論の中のリアリズムと呼ばれる学派の中で重要視されてきました。

勢力均衡をざっくり定義するならば

国家が互いに力の拡大を監視・牽制しあうような国際システム

となります。以下では勢力均衡についてより詳しく解説していきます。

勢力均衡とは何か

著名な国際政治学者であるH.モーゲンソーは

権力を求めようとする国家はそれぞれ現状を維持あるいは打破しようとするが、その熱望は勢力均衡と呼ばれる形態とその形態の保持を目指す政策とを必然的に生じさせる

と述べています。モーゲンソーの意見はやや極端にしても勢力は普遍的な国際政治理論として考えられてきました。

勢力均衡が達成された状態とは国際政治の中で諸大国間の力のバランスが釣り合った状態を指します。ここでの力とは軍事力や経済力のことです。

勢力均衡状態が達成されることで国際政治の中で力の格差が小さくなり、戦争が発生する可能性も小さくなります。力の格差が小さいほど、国家が戦争を起こすコストが大きくなるからです。

そのため勢力均衡論に基づけば、いずれかの国家が圧倒的優位にならないように同盟などの手段を通じてバランスを取ることが求められます。

勢力均衡論は平和を実現するための手段として考えられてきました。

勢力均衡の具体例

勢力均衡が実現されたとされる歴史的事例は19世紀ヨーロッパのウィーン体制や20世紀の冷戦期における米ソ関係などが代表的です。

いずれも関係する大国が比較的同等な力を持ったために平和を実現することができました。

勢力均衡への批判

しかし、勢力均衡論には批判もあります。勢力均衡論は脆弱な理論基盤しか持っていないからです。

まず勢力均衡では諸大国間の力関係が均質化することが求められます。しかし、そもそもの「力」はどのようにして計測するのかが非常に困難とされています。

また各国が持つ「力」は常に変化し続け、そのバランスを取り続けるのは不可能に近いため、一時的に勢力均衡が実現しても結局はバランスが崩れ、戦争に陥ってしまうとも批判されています。

何より勢力均衡論の大きな問題として考えられているのが勢力均衡を求めることで「安全保障のジレンマ」状態になる問題です。

安全保障のジレンマとはA国とバランスを取ろうとしたB国が軍拡をするとA国もまた軍拡で対抗するため結局軍事的衝突の危険性が上がってしまう状態のことです。勢力均衡を求めた結果、戦争の可能性が上昇してしまうとの指摘がなされています。

まとめ:勢力均衡を取り巻く近年の潮流

勢力均衡は古来より安全を確保するための手段として国際政治学の中で根強い支持を持ってきた理論です。しかし、実際には勢力均衡状態を計測するのは難しく、現実への適用性は疑問視されている部分もあります。

現代ではアメリカが覇権国としての地位を占めています。しかし、イラク戦争を通じてアメリカの退潮傾向が明らかになると多くのテロ組織や「ならず者」国家が世界で活動するようになりました。

これをアメリカによる勢力均衡政策の失敗と見る向きもあります。このことの裏を返せば現在でも勢力均衡が支持されていることの証左でもあるのです。