Brexitの流れをわかりやすく解説します

Brexitの流れをわかりやすく解説します

Brexitの手続きについて

 EU は二つの側面を持っています。一つ目が市場統合や共通通貨による通貨統合など諸政策の協議の場所であること。二つ目が国際社会に登場するアクターとしての側面です。Brexitはこれら二つの側面に影響を及ぼす重要な事案です。

 EU 条約の第50条に EU 離脱に関する規定がなされています。それによれば、

「EU のすべての加盟国はその憲法上の要請に従って EU からの脱退を決定することができる」

「脱退を決定した加盟国は、その意図を欧州理事会に通告する欧州理事会が定める指針に照らして、EUは、当該国のEUとの将来の関係のための枠組みを考慮しながら、脱退のための取り決めを定める協定を当該国と交渉し、締結する。その協定は、EUの機能に関する条約第218条第3項に従って交渉される。同協定は欧州議会の同意を得た後、特定多数決でEU理事会によりEUを代表して締結される」

「 EUの諸条約は脱退協定の発行日よりもしくは協定を締結できない場合には第二項に言及された通告から2年後より欧州理事会が当該国との合意の上でこの期間の延長を全会一致で決定しない限り、当該国への適用を終える」

「第二項及び第三項の目的を果たすため脱退する加盟国を代表する欧州理事会もしくは EU 理事会の構成員は欧州理事会もしくは EU 理事会の議論あるいはそれに関する決定には参加しない。特定多数決は EU の機能に関する条約第238条3項(b)によって定義される。EU から脱退した国が再加盟を申請する場合、その要請はEU条約第49条に規定された手続きに従う。

Brexitの進捗状況とは?

2016年6月23日国民投票でイギリスは EU の離脱を決定します。2017年3月29日にメイ首相は欧州理事会のトゥスク常任議長に宛てて脱退通告の書簡を送付します。これによって EU 条約第50条脱退条項が発動されることになりました。

2017年4月5日、欧州議会は英国の脱退協定を承認するための主要原則と条件を正式に明記した決議を採択します。4月20日にはイギリスを除く27カ国が英国の EU 脱退交渉のガイドラインを採択します。5月3日には欧州委員会がイギリスとの交渉開始について EU 理事会への勧告を採択します。5月22日には EU 理事会が交渉開始を承認する決定を採択します。

2018年3月19日、EU とイギリスは2020年12月31日までの移行期間で合意します。2018年の11月には EU とイギリスとの離脱協定案の合意がなされます。しかし、2019年の現時点で既にこの離脱協定案が3回イギリス国内議会で否決され、混迷の事態に陥っています。

Brexitの焦点

離脱交渉の焦点は、一つ目が EU 市民の権利がどのように扱われるのか、二つ目が未払いの拠出金をどのように精算するのか、三つ目がアイルランドのとの国境問題をどのようにするのかです。これらの論点をめぐって離脱案の交渉は難航しました。

Brexitが意味すること

Brexitはイギリスは関税同盟単一市場からの脱退を意味します。ただし、EU条約の適用が終了するまではEU加盟国としてのすべての権利と義務を有することが認められています。離脱後も移行期間においてイギリスは EU の単一市場と関税同盟に残留し、移行期間中は予算に貢献、EUの加盟国からの移民を受け入れることで合意がなされました。

1973年の加盟以来、イギリスは単独で結んだ他国との通商関係がありません。すなわち、共通通商政策からの脱退は現在 EU が結んでいる50以上の国や地域との通商協定からイギリスが脱退することを意味します。またイギリスは EU からの離脱以前に第三国と貿易協定交渉を行うことはできません。新たに貿易協定を行うまで貿易面で障壁が存在する国になってしまう可能性があります。

 EU は対外政策において非常に多様な手段を持っています。外交的手段、軍事的手段、経済的手段、社会・文化的手段などです。このように EU は 加盟国外の国々と交流を持つことができます。

それぞれの政策領域によって EU と加盟国間の権限配分は異なります。EUの対外行動に関する一般規定は EU 条約第21条に書かれています。EU は「国際社会における民主主義、人権、基本的自由などの基本原則を尊重し次の事項に関する共通政策及び行動を追求する。1 連合の価値、基本的利益、全体を守ること 2 民主主義、法の支配及び人権等を強化し、かつ支援すること 3 国連憲章の目的原則に従い平和の維持紛争の防止等強化すること 4 貧困の撲滅 5 国際貿易における制限の漸次的廃止をすること 6 持続可能な発展を確保し、環境の質と世界の天然資源の持続可能な管理を確保すること 7 自然あるいは人為的災害の援助を行うことで強力な多国間協力の推進をすること

EU は対外行動において上記の1から8の項目の諸原則を尊重し制作においては首尾一貫した行動をとることを明言しました。これらの政策は特別なルールおよび手続きに従います。その手続きはEU条約の第24条に書かれています。イギリスは EU から撤退した後、 EU の対外行動に関する一般規定から自由になることができるのかが大きな論点として残っています。

Brexitと共通安全保障政策

共通外交安全保障政策について見てみましょう。EUはEU 条約の規定に従って共通外交安全保障政策を策定し、実施する権限を有しています。共通外交安全保障政策は他の政策領域とは異なる扱いを持っており、決定は全会一致の原則を保ち立法行為の採択は除外されています。

ブレグジットの後のイギリスはこの共通外交安全保障政策からも出ることになり、どのような外交政策を取っていくのかが注目されます。

EU はその一つの主体としての性格を強めていて、法人としての性格を持ったり、一つの声の発信をしたりしています。それを示すように、EUは国際社会が抱える課題や憂慮すべき事態に対し、基本的価値に基づき、欧州対外活動庁が声明を発表することがよくあります。

欧州対外行動庁はスタッフを約1600人抱え軍事活動などを含むEU版外務省としての性格を持っています。活動にかかる費用は EU 予算とは別枠で設けられ、加盟国が経済規模に応じて予算を支出し、プールしている状況です。

まとめ:Brexit後のイギリスはどこへ行くか

 EUからイギリスが離脱することは二つの意味を持ちます。一つ目がフォーラムとしてのEUからの離脱です。関税同盟や単一市場のような共通政策からだったいるすることになります。これによって、イギリスはEUの集合的な政策決定から単独移行することになります。

二つ目がアクターとしてのEUからの離別です。これによって EU の一つの声から外れます。外交安全保障政策がどうなるのか。EU 全体での環境政策から離脱し、どのような環境政策をとるのかが注目されています。

単独行動による政策の決定がイギリスの政治ひいては世界の政治に対してどのような影響を持つのかが非常に注目されています。