北朝鮮の外交を理解するのに大切なポイント

北朝鮮の外交を理解するのに大切なポイント

北朝鮮がミサイルを打った。ロシア軍が持つ兵器に酷似しており、北朝鮮にとっては新型兵器らしい。国連の安保理決議に違反する恐れがあり、北朝鮮にとっては危険な賭けと言える。

北朝鮮の外交方針は「瀬戸際外交」と言われる。2017年から2018年にかけて、北朝鮮の金正恩委員長は類をみないほどの外交攻勢をかけていた。

2016年に核実験と大陸間弾道ミサイル発射実験を次々と行い、朝鮮半島の緊張を高めた。韓国とアメリカは対話の門を開き、南北首脳会談の相次ぐ開催、史上初の米朝首脳会談が行われた。

国連安保理の制裁決議、日米の独自制裁によって北朝鮮経済は間違いなく疲弊している。その上、2回目の米朝首脳会談が物別れに終わってしまった。北朝鮮としてはこれまでの外交攻勢よりも2016年のような緊張状態を作り出して、周辺国からの譲歩を引き出そうとする戦略に移ったように見える。

北朝鮮外交の基本戦略として、緊張状態を作り出し、相手からの譲歩を引き出そうとする戦略があることは頭に入れておく必要がある。

今回もこの戦略の一貫と考えれば、北朝鮮がいかに彼らなりに合理的に計算しているかがわかる。

北朝鮮として不透明なのは、今の国際情勢を鑑みて、どこまで緊張状態を作り出して良いのか?ということである。

北朝鮮としても周辺国から完全に見放され、相手にもされないようでは、緊張状態を作り出す意味がない。北朝鮮が「ねえ僕のこと見て!注目して!」とアピールするのに周りの国が付き合ってくれないといけないのだ。

現在のアメリカ・トランプ大統領、韓国・文在寅大統領は北朝鮮との融和に腐心してきた大統領たちだ。

2年ほどの交渉の結果、金正恩は確かに表舞台には出てきたが、米韓が結果的に何か生み出せたかといえば、何も生み出せなかったと言わざるを得ない。

トランプとしては「オレのおかげでミサイルが飛ばなくなった!」とはいえなくなったため、今回のミサイル発射は米朝交渉に少なくない影響を及ぼしてくるだろう。今後の米朝交渉でより大きな成果を出そうと強行的にくるのか、譲歩するのか。北朝鮮はそこを見極めたがっている。

一方の文在寅大統領は真っ青になっているろう。ここ2年間でやってきたことが水の泡になるからだ。

この両国が今度どのような対応を見せていくのか?北朝鮮がどこまで挑発をしていくのかについて今後の検討が待たれる。

2007年の米朝合意文書や遡れば2000年前後の第一次&第二次核危機の時も北朝鮮は緊張→譲歩引き出しの戦略をとってきた。

その時々の世界情勢や周辺国の内政に鑑み、挑発の度合いを様々に挑発してきた。ただ一つ言えるのは、北朝鮮が時を経るにつれ、挑発のレベル感を自由自在に操れるようになってきたということである。

この背景には核開発と弾道ミサイル技術の発展があるということは言うまでもない。

この構図を意識しているだけでも北朝鮮の今後のリスク展望が予測できる可能性がある。頭に入れておいてほしい。