EUの予算と共通農業政策について

EUの予算と共通農業政策について

EU の予算と共通農業政策

今回は EU の予算について勉強をしていきます。 EU予算の財源は1960年代までは加盟国が分担する形で捻出されていました。1970年以降は関税と農業課徴金によってEUは独自財源を確保することが可能になりました。

独自財源の内訳をより詳しく見ると、農産品を含む輸入品に課される関税、商品やサービスに飾られる付加価値税、全加盟国の相対的な富裕度に応じて決定される「分担拠出金」があります。

EU機能条約第314条によれば、予算決定手続きは以下のようです。まず、各機関が提出した支出見積もりを欧州委員会が取りまとめ、仮予算案が作成されます。仮予算案は予算執行の前の年の9月1日までに欧州議会と欧州理事会に提出されます。

予算案は理事会による採択が行われた後、欧州議会に送付されます。欧州議会での修正案の採択が行われ、欧州議会と理事会の代表からなる調停委員会が草案を作成し合意を目指すことになります。

2019年度のEUの予算は1658億ユーロとなっています。歳出は成長や雇用などの競争力をつけるための政策、経済・社会・領土といった EUの結束を促す政策がメインになっています。

EU 予算は中期財政見通しに基づき年ごとに作成されます。中期財政見通しとは7年ごとに提出される EU の財政上の試算のことです。独自財源を確保したものの EUの予算は加盟国から徴収する関税や砂糖税及び各国の分担金が主な財源となっています。

EUの共通農業政策(CAP)について 

EUの予算の中で共通農業政策は最大の支出分野の一つでした。共通農業政策は石炭鉄鋼部門の共通政策に続いて策定された EU 史上2番目に古い政策分野です。

農業は EU の中枢の政策で、欧州連合とその加盟国が権限を分かち合っている政策分野です。

農業が直面する外部的な要因から変革が迫られる政策分野であることは間違いありません。共通農業政策の設立当時の目的は欧州の人々に十分な食料を安定的に供給することでした。その一方で、農家の生活を保障し、消費者に安全食品を適正価格で安定供給することもまた目的の一つでした。

域外からの農産物輸入に対しては変動課徴金を課して、安い輸入産品の流入を防ぎ、域外の農産物については市場価格が下落しても、介入価格で買い支えることで最低価格を保証しようとしました。

この共通農業政策には二つの柱があり、第一の柱は、支持価格と直接支払いによって収入水準を維持するための農家への所得補助や買い入れ介入や輸出補助金を行う市場施策です。第二の柱は農村開発政策です。EU加盟国間や地域間の経済力や生産条件などの格差を是正することが目的です。

共通農業政策の見直し

共通農業政策はその政策の見直しが迫られる事態になりました。その背景にはEU加盟国の拡大、価格所得政策関連の財政支出の増大による財政負担の拡大、 WTO農業交渉との関係で迫られる助成金改革の必要性、環境保全の必要性がありました。

1990年代の共通農業政策改革はマクシャリー改革と呼ばれ、域内共通価格の引き下げや直接支払いの導入などによって以前の介入買い入れの費用減少、CAP支出の膨張を回避しました。

1997年の7月、欧州委員会によって「アジェンダ2000」が提出されました。この「アジェンダ2000」では、今後のEUの東方拡大を睨んで、財政支出の削減を目的とし、2000年以降の予算枠組みと計画を示しました。2000年から2003年までの改革では共通農業政策において支持価格の引き下げと直接支払いの引き上げ農村開発政策の強化が行われました。

2003年の共通農業政策改革では、直接支払いの大部分を生産と切り離し(デガップリング)、段階的に削減。削減分は農村開発予算の予算へシフト(モジュレーション)すること、支持価格の引き下げが行われました。

2009年の改革では、直接支払いの大部分を生産と切り離すデカップリングを促進し、モジュレーション率の拡大や生乳の生産割り当て、市場管理政策の見直し、気候変動、エネルギー等の新たな課題への対応が目指されました。

2013年の改革では財政削減と環境対策の強化がうたわれ、さらなる共通農業政策の改革が進んで行きました。中東欧諸国への支援がそのメインです。農業農村開発振興のための特別なプログラムが導入されたのです。EU加盟後の円滑な共通農業政策導入への準備が目的でした。

2000年から2006年にかけて年平均502億ユーロが中東欧へ配分され、使い道の具体例としては農家への投資、加工・流通の改善、農村インフラの開発改善、林業への投資などが行われました。