EUの通貨統合についてわかりやすく

EUの通貨統合についてわかりやすく

EU の通貨統合について

EUの通貨統合の背景

EUの通貨統合の背景には経済的動機と政治的動機の二つの側面があります。

経済的な動機は3つあります。1つ目の目的が経済的な通貨統合によって、為替レートの調整における負担の違いをなくすことです。2つ目が国際的に強い通貨(ドイツのマルクなど)と国際的に弱い通貨との格差を縮めることです。3つ目が国際金融市場のグローバル化への対応です。グローバル化の経済が発展によって、国際金融市場における通貨の強さが非常に重要になりました。

政治的動機について。ひとつの政治的共同体をつくるという EU の目的に照らせば、通貨統合によって、より国家としての体をなすことというのは重要であったと考えられます。

通貨統合までの道のり

1971年アメリカのドルと金の公定価格での交換停止が決定されました。これによって固定為替相場制が終わります。これによって欧州各国は為替相場を安定させるため協力を開始します。

欧州経済共同体加盟国の中央銀行総裁は加盟国間の通貨間の為替変動幅をプラスマイナス2.25%以内に抑えることを決定しました。これが欧州通貨制度の立ち上げにつながります。1989年の欧州理事会で3段階制による欧州通貨同盟計画の採択がなされます。

まず第1段階では1997年7月1日から資本の自由移動の実現地域間格差の是正策の強化を目指す構造基金の拡充加盟国の経済政策の監視による経済収斂の達成が目指されました。

第2段階は1994年7月1日に始まります。EU 加盟国中央銀行総裁で構成される欧州通貨機構をフランクフルトに設立すること、各加盟国中央銀行の独立性を確立すること、各加盟国の財政赤字を抑制するためのルール整備を行うことが目指されました。

第3段階はユーロ誕生の具体的なプロセスが作成されました。ユーロ圏参加のための5つの収斂基準が示されたからです。1つ目が物価の安定、2つ目が金利をプラス2%以内に抑えること、3つ目が財政赤字が対 GDP 3%以内であること、4つ目が政府債務残高が対 GDP 比60%以内であること、5つ目が為替レートの安定がなされていること、すなわち当該国の為替レートが直近2年にわたって所定の変動幅内に収まっていることが基準として示されました。

1992年2月7日にマーストリヒト条約が調印され、一定の経済状況を満たせば加盟国は欧州単一通貨に参加できることが定められました。1994年1月には欧州通貨基金が設立され、加盟国の経済を監視し、加盟国経済の修練を促進する新たな政策を実施する機関が設立されました。1997年6月、安定成長協定が結ばれ、この頃ユーロ通貨の欧州共通面のデザインが正式に決定されます。

1998年の5月には欧州中央銀行が設立されユーロ圏の単一金融政策を担うことが 発表されました。1991年1月1日、ついにユーロが誕生します。しかしこの段階では現金以外の取引での流通となりました。参加国はオーストリア、ベルギーフィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペインの11カ国です。

2001年にはギリシャがユーロに参加します。2002年1月1日にはユーロ貨幣ユーロ硬貨が導入され現金の取引でもユーロを使用することが可能になりました。古い紙幣と硬貨の回収として、ユーロの導入が段階的に行われ、2002年の2月28日以降はユーロが唯一の法定通貨としての性格を持ちます。

2007年1月にはスロベニアが2008年1月1日にはマルタとキプロスが2009年の1月にはスロべキアが、2011年にはエストニアが、2014年にはラトビアが2015年にはリトアニアがユーロに参加して2018年現在は19カ国が参加しています。

ユーログループについて

ユーログループとはユーロ圏参加の財務大臣で構成される会合のことです。その目的は、経済政策の協調、各国の予算方針、金融政策を監視することです。

このユーログループは2009年12月に採択されたリスボン条約により正式な位置付けが付与されました。欧州委員会委員長ユンカーがユーログループ議長を務めることもありました。

欧州中央銀行制度について

欧州中央銀行制度について確認していきましょう。欧州中央銀行と EU 加盟国の中央銀行から構成される連邦型の中央銀行を欧州中央銀行制度といいます。

ユーロ圏の諸国は単一の金融政策を実施しており、この金融政策を担うのがユーロシステムです。ユーロシステムの目標は物価の安定です。

単一金融政策がもたらす問題があります。それは経済状況(財政状況も含む)が各国ごとに異なるにも関わらず金融政策の政策手段はひとつしか存在しないことです。域内の不均衡を EU 内で未然にに監視することによって単一の金融政策がもたらすデメリットを克服していくことが求められています。

ユーロによる問題点

ユーロによって経済格差がもたらされたと言われています。ユーロ危機に代表される経済ガバナンスの弱点が浮き彫りになるケースがあるからです。欧州通貨統合することによって財とサービスに加えて資本や労働も国境を超えてEU域内を移動することが可能になりました。このことが地域間格差の縮小もしくは拡大をもたらすのかについてはいま議論が分かれているところです。しかし EU の経済ガバナンスの脆弱さというのはユーロ圏の金融政策が単一であること財政政策が不十分であることなどからも明らかです。

統一通貨による問題を克服するために、セーフティネットとしての加盟国の役割が大切になってきます。セーフティネットとは経済的なリスクから保護する制度のことです。

従来、主要産業の経営悪化時には、国家が様々な形で支援策を行いました。支援策の例としては、当該企業への補助金、債務保証、税制優遇措置。失業者対策などです。しかし、EU は競争政策を通じて、加盟国政府による産業支援策を制限したり禁止したりしました。

競争政策とは何か

競争政策とは競争法(日本でいう独占禁止法)に基づき EU の域内単一市場において、企業間の自由で公正な競争を推し進め、それにより一般消費者に恩恵をもたらし経済の健全な発展を図るための政策と定義されています。

これは欧州委員会による施策です。企業カルテルやトラストの監視などを行います。リスボン条約によって法的根拠が明記され、EU が権限を有する政策分野として EU の経済憲法としての性格を強く持っています。