EUはどうやって政策を決めているの?

EUはどうやって政策を決めているの?

EU の機構と政策決定

EUの法体系の特徴は2009年12月発効のリスボン条約に見いだすことができます。リスボン条約によれば EU はより民主的な仕組みを持ってより早く効率的な政策決定を目指すことが目標です。同条約の内容は経済政策や安全保障防衛政策、司法及び犯罪、社会政策、人権などの法律分野において定められています。

 EU の権限について

EUの原則は補完性原則といいます。これは EU 加盟国の権限の共有に関する原則のことです。これは EU の行動範囲を EU の排他的政策権限に属さない政策領域で EU 加盟国やその地方行政では十分な政策が期待できずに言うレベルの方が政策の目的をより良く達成できる場合に限るとする原則のことを言います。

すなわち EU が権限を持つ分野は限定されているのです。EU が単独で権限を持つ分野は排他的権限と呼ばれます。EUが立法を行い法的拘束力を有する行為を採択する権限のことです。

その該当分野は、関税同盟、域内市場の機能に必要な競争法規範の制定、ユーロ圏の国々のための金融政策、共通漁業政策に基づく海洋生物資源の保護、共通通商政策、一定の国際協定の締結などがあります。

共有権限

排他的権限とは別に、EU と加盟国が権限を共有する分野があります。これを共有権限と言います。共有権限では、EUも加盟国と共に立法を行い、法的拘束力を有する行為を採択することができます。

共有権限に該当する分野は以下の通りです。域内市場、一定の社会政策、経済的結束、社会的結束、領域的結束、農業、漁業、環境、消費者保護、運輸、欧州横断ネットワーク、エネルギー、自由、安全、司法領域、公衆衛生面の安全問題、研究、技術開発、宇宙、開発協力、人道援助があります。

補完的行動

加盟国が権限を有し、EUが支援調整を行う分野もあります。これを補完的行動と言います。補完的行動では、EUが加盟国の行動を支援し、調整・補充するための行動を行います。この補完的行動が適用される該当分野は人間の健康保護・改善、産業、文化、観光、教育・職業訓練・青少年・スポーツ、市民保護、行政協力あります。 

他には個別政策としての経済雇用政策があります。加盟国はEU機能条約で決定される取り決めの中で経済雇用政策の調整を行います。例えば EU が雇用政策のためのガイドラインを作り加盟国はそれにしたがって社会政策を調整し、財源を確保します。EUが定めたことに対して、各加盟国が個別の対応を取ることになっています。

個別領域の政策

EUのみが独自で持っている個別領域の政策があります。共通外交安全保障政策です。EUはEU 条約の規定に従って、共通外交安全保障政策を策定し実施する権限を排他的に有しています。この共通外交安全保障政策は他の政策領域とは異なる立場を持っています。共通外交安全保障政策を施行するための決定は全会一致の原則で、立法行為の採択からは除外されます。

 EU 司法裁判所

 EU司法裁判所はEU法の遵守や基本条約の適切な解釈・適用を保証することが役割です。ルクセンブルクに位置するEUの基本条約の執行や適切な運営がなされているかをチェックすることが目的です。

EU司法裁判所の判事は各加盟国から一人ずつ任命されます。法務官は8人いて、判事を補佐を任されています。任期は6年で再任は認められています。

 EUが策定する法の種類には2つあります。一次法と二次法です。一次法とは、EU の条約・議定書のすべてを指します。二次法とはEUが制定した法律とEU司法裁判所が出した判決などのことを言います。二次法の種類は3種類あり、規制と指令と決定です。

規制はすべての加盟国に自動的に適用される法律です。例としてはREACH規則(特定有害物質の利用規制)があります。

指令は EU レベルでの目的を定めたものでその目的が実現するために加盟国内で国内法を制定する必要がある法律です。

決定は特定の対象国家や企業などに対象を限定して採択される法律のことです。

 EU の政策決定について

政策決定のための権限はEUの主要機関に割り振られています。

一般的な法案を提出する権限は欧州委員会のみに権限が付与されています。法案を立法する権限は欧州理事会と欧州議会が共有しています。予算に関する権限も欧州理事会と欧州議会が共有しています。

1986年の単一欧州議定書によって協力手続きが導入され、立法に関する議会の権限は強化されました。リスボン条約によっても欧州議会の権限強化は図られました。

欧州議会での EU 立法の手続き

欧州議会で採られる立法手続きには2つの種類が存在します。1つ目が通常立法手続き、2つ目が特別立法手続きです。

通常立法手続きでは欧州委員会の積極的な参加の下、法案が提出されます。提出された法案は欧州議会と理事会の2度にわたり読会が行われます。

この通常立法手続きは、幅広い政策領域に適用されている立法手続きです。通常立法手続きが適用される対象は理事会で特定多数決が用いられるすべての政策分野です。

通常立法手続きは、1993年発行のマーストリヒト条約により導入され、2009年発行のリスボン条約で合法移民、刑事・司法協力、警察協力などの分野が適用分野に追加され、欧州議会での EU 立法手続きの主要な決定方法となっています。

通常立法手続きにおける欧州議会での審議は三読会制が取られています。第一読会で法案が審議され 、EU 理事会に修正案が提出されます。EU 理事会は賛否を決定します。法案が修正された場合、第二読会へ進み、第二読会で欧州議会と理事会が合意できない場合は、調停委員会へ進むことになります。

特別立法手続きは欧州議会と理事会のいずれか一方が他方の指紋または同意をもって法律を制定する手続きです。間接税や労働者の社会保障及び社会保護などの分野で取られる立法手続きになります。

ヨーロッパの市民参加型の民主主義については以下の記事も参考にしてください。