【解説】ニュースの前に地政学はいかがですか?

【解説】ニュースの前に地政学はいかがですか?

朝鮮半島情勢が盛り上がっています。皮肉抜きで、なんであんなに盛り上がっているのでしょうね。朝鮮半島の中だけで盛り上がれるなら話はわかりますが、そこに登場するのは「アメリカ」「中国」「ロシア」「日本」という面々。

国際問題がどのような成り立ちなのかを理解するのに「地政学」を使って見ましょうというのが今回の趣旨です。

「地政学」って聞いたことありますか?

なんとなく聞いたことある。聞いたことない。そもそも「政治」に興味がない。いろいろだと思います。

「政治」に関して詳しい人も詳しくない人も、「地政学」を学ぶことでニュースの見方(特に国際面)がグッと変わることをお約束します。それでは解説を始めましょう。

地政学のターゲット

「地政学」のターゲットは「地球」です。「地球」が研究対象なのです。

「政治学」というと「選挙システム」のような政治システムの中身を研究したりとか「民主主義とは何か」のような概念を研究するのが一般的です。これを静態的な研究と言います。

一方、「地政学」の研究対象は「今の地球」です。リアルタイムで「地球」を研究対象にするのです。リアルタイムではいろいろなことが起きます。なので、「地政学」は、「静的」な研究の反対で「動的」な研究と言います。

どういうことか、より具体的に解説します。

「地政学」では地球を俯瞰します。すなわち、地球全体を観察して、国際関係の場でどんなことが起きているのか、全体を眺めるのです。国際関係の主体、プレイヤーは「国家」です。

プレイヤーであるそれぞれの「国家」がどんな力を持っていて、それぞれの関係性はどうなのか。それを地球単位で眺めることをターゲット=目標にしているのが「地政学」なのです。

プラトンは「地政学」推しだった?

古代ギリシアの哲学者であったプラトンは理想国家を論じた『国家』の中で統治者に必要な資質を二つ挙げている。これは観想的能力と指導的能力である。そのうちの一つである観想的能力の観想(テオリア)とは「眺める」という言葉の語源でもあり、この場合では「物事から視点に距離、また高い位置に置いた上で観察する」という意味合いがある。

(中略)

政治家は国家を指導するために一般的な視点で事物を観察して問題解決するこの観想的能力という高度な知性が必要だからである。

(WIKIBOOKSより引用)

なるほど。わかった。わかったのか?

言い換えます。

プラトンは政治家に必要な能力として「観想的能力」というものをあげています。

その「観想的能力」とは「俯瞰して物事を観察し、戦略を立て、問題を解決する能力」だというわけです。

これって「地政学」そのものじゃないか!!

あの「プラトン」が地政学の重要性を説いているのです。(本人はそんな意識はないだろうけど)

「地政学」なんだかすごい感じがしてきました。

これからはその「地政学」の現実との関係を見ていきましょう。

グローバルな世界での真理

地政学は、激動の国際社会の中での指針を与えてくれます。

この世界は「グローバル化する」世界というのはもう時代遅れで、「グローバル化した」世界というのがが正しいのでしょう。

そんな世界ではあらゆるものがあらゆるものと繋がっています。

ビジネスマンだって国際政治の動向を気にしないとすぐに自分のビジネスに影響が出る時代です。株価だって、政治の動き方次第では乱高下することもままあります。とても変化に富む時代です。

しかし、地政学というのは「地球」を相手にしています。「地球」というフィールドの中で「国家」というアバターがわちゃわちゃやっているのを眺める学問なのです。

何が言いたいか。「地球」というフィールドは変化しないということです。

日本列島には現在「日本国」というプレイヤーが存在していますが、「日本列島」は「日本国」がいなくても存在し続けるのです。

ここが決定的に大切なポイントです。フィールドは変わらないのですから、「地政学的なものの見方」に立てば、長期的な物事の見方、予測が立てやすいということになります。

これは変化に富む国際情勢の中で指針に成るものだと思います。

では「地政学的なものの見方」とはどういうものなのか。最後にお伝えします。

「地政学」のメガネをかけてみよう

「地政学的なものの見方」を身につけるということは、

  1. 地理的な空間把握をするということ。
  2. 「国家」という単位で物事を観察するということ。
  3. 「国家の勢力」は地理に全面的に影響するということ。
  4. 複数の「国家」が存在し、それが自然状態なら闘争が起きるということ。

この4つになります。

これらを小難しく書いたのが

第一前提は「人間を政治的共同体という集合的な単位で観察すること」である。これは近代国家が成立した近代以降においては国民国家と近似する。第二の前提は「政治的共同体のあらゆる勢力は地理に依拠する」ことである。これは地表上の状態である陸地や海洋が政治的共同体の勢力の基礎であるとともに制約するものでもあることを述べてる。第三の前提は「複数の政治的共同体が自然状態に置かれている場合では競争または闘争の状態が生じる」ことである。(WIKIBOOKSより引用)

です。

「地政学」は「地理」+「政治」から成る言葉ですが、「地球」+「政治」でもいいなと個人的には思ってしまいます。

例えば?

朝鮮半島が今の場所になくて、たとえばオーストラリアの横にあったら?

沖縄が今の場所になくて、北海道の横にあったら?

地政学的に考えて、朝鮮半島は冷静の象徴にはならなかっただろうし、沖縄にアメリカ軍の基地はなかったのだろうと思います。

現在の国際的な問題を「地理」的な側面から見てみる。そのために「地球」を俯瞰することが必要になります。俯瞰したら、その中で「おっ、なんかバチバチやっているな」と気づきます。

その「バチバチ」の要因はなんだろうな?その問いを解決するには、いろいろなことを考える必要があります。「歴史」「軍事」「国力」「文化」いろいろな要素がひしめき合っています。

ですが、「地政学」では「地理」を大切にします。(本当は「軍事」も大切なんですけど)

目先のイメージ論ではなく、プラトンが政治家の素質として大事だと強調したような「巨視的な視点」を持つために、「地政学」のメガネをみんなでかけませんか?

<参考図書「地政学入門 中公新書」>