【国際政治】覇権とは何?わかりやすく解説します

【国際政治】覇権とは何?わかりやすく解説します

この記事では覇権にまつわる国際政治の理論について詳しく解説しています。

国際政治学では覇権を持つ国家によって世界の安定が実現する覇権安定論が語られてきました。

これはすべての国が同じパワーを持つことで平和を実現できると考える勢力均衡論とは対照的です。

国際政治学の中で覇権を考える際は覇権安定論が土台となっています。

現在、中国の台頭もあり「覇権」への注目度は高まっています。この記事でサクッと覇権について勉強しましょう!

覇権安定論とは何か

まず覇権安定論について。

覇権安定論は覇権国(圧倒的な力を持つ国)によって世界平和が実現されると考えます。

国際政治学者・オーガンスキーは

平和は(中略)「力の優越」が存在する期間に実現することが多いなぜならそのような時期は圧倒的な力を持つ国が国際秩序を形成・維持するからである

と述べています。

圧倒的な覇権国に対してわざわざ小さな国が戦争を起こすなんてあり得ないですよね。絶対に負けてしまうから。これが覇権安定論の基本的なロジックです。

しかし、覇権安定論では単に他国よりも力が圧倒的に大きい国が存在すればよいわけではありません。

国際政治学者・ジョセフ=ナイは覇権について

一つの国が国家間関係を律する基本的なルールを維持できるほど強力であって、しかもそうする意志がある

ことが必要だと述べています。

覇権国は圧倒的なパワーと自らの理念に基づいた世界システムを作ろうとする意思を備えていなければなりません。

アメリカは圧倒的な力を持ちつつ、自由で平等な世界を主導しており、覇権国の条件を備えていると思われます。

パワー・トランジッション論とは?

この覇権安定論を前提にしつつパワー・トランジッション論は異なる見方を提示します。

パワー・トランジッション論は覇権国の力は永続的でないと考えるところからスタートします。

覇権は永続的ではないため国際秩序の安定はいつか終わりを迎えます。覇権国が力を失い、新しく力をつけた国がそれまでの覇権国に取って代わると考えます。

ちょうど現在のアメリカと中国の関係のようです。

パワー・トランジッション論では力の移行が起こる際、2つのシナリオが想定されています。

1つ目は新興国が覇権国による既存の国際秩序に不満を抱き、覇権国と対立・戦争へと突入するシナリオ。

2つ目は新興国が覇権国による既存の国際秩序に包含され、平和が維持されるシナリオです。

現在でも中国がアメリカの作った国際秩序に包含されるのか米中が対立するのかをめぐって議論が続いています。

覇権サイクル論とは?

覇権にまつわる国際政治理論をもう1つご紹介しましょう。

それが「覇権サイクル論」です。

「覇権サイクル論」では覇権国が周期的に交代すると考えられています。

「覇権サイクル論」の代表的論者・モデルスキーは覇権国は主に100年ごとに現れるとの見方を提示しました。

16世紀のポルトガル 、17世紀のオランダ、18世紀〜19世紀のイギリス、20世紀のアメリカが覇権国に当たります。

さらにモデルスキーは覇権国となった国の特徴を抽出し、覇権国の条件として

  • 島国性:安全保障を容易に手に入れられる
  • 安定性と開放性:人々を引きつける魅力がある
  • 主導的経済:世界経済の成長の中心である
  • 全世界に力を及ぼす:世界戦争に勝利できる

の4つの条件があると考えました。

これらの条件を満たすことが覇権国になるために必要。

これらのうち1つの条件でも満たさなければ、覇権国は新興国による挑戦を受けるだろうと考えられています。

まとめ:覇権理論と中国

覇権国の存在が世界に安定をもたらすと考える覇権安定論。

覇権国は移行し続けると考えるパワー・トランジッション論。

覇権国は周期的に現れると考える覇権サイクル論。

覇権にまつわる国際政治理論には現実への適用性が高い興味深い理論が多く提示されていることがわかりました。

近年、覇権論は注目を集めています。急速に力をつける中国が覇権国・アメリカへの挑戦国になるとみられているからです。

米中の対立は既存の国際秩序を動揺させるのか。紹介した理論を使って考えてみてください。