多メディア化によってメディアを取り巻く環境はどうなった?

多メディア化によってメディアを取り巻く環境はどうなった?

この記事では多メディア化によってメディアを取り巻く環境の変化について解説していきます。

メディア間の境界はインターネットの登場もあり曖昧になっています。この多メディア化によってメディアを取り巻く環境がどのように変化してきたのかについて解説していきます。

制度改正の動向

近年、技術の動向を後追いする形で制度改正が進行しています。技術の進展に即応する形で、制度(規制のあり方)を手直しすることは困難です。なぜならば制度改正には適正な手続きが必要であり、必然的に時間がかかるからです。

制度改正で代表的な見直しは通信・放送法体系の見直しです。その結果2010年放送関連法再編がなされました。

これによって放送・通信法体系の見直しが行われ、コンテンツに関連する部分でも放送の業務と放送設備の設置に関する参入手続きの整理が行われました。

法体系見直し後の課題も明らかになっています。

まずあげられるのが放送番組のインターネット同時配信の是非です。インターネット同時配信が妨げられている要因としては、業務内容に定められていなかったり、地域性との整合性をいかに確保するのかがあげられます。

ラジオ放送事業者の経営悪化も問題です。放送の地域性の維持や災害対策の側面からラジオの重要性が存在し続ける中、ラジオ業界を維持することができるかが焦点になっています。

放送に対する規制根拠の薄弱化

現在では放送に対する規制根拠が薄弱化していると言われています。これまでの規制根拠を確認してみましょう

従来の規制根拠①「周波数帯の希少性」

従来は数チャンネル程度の地上放送を前提に制度設計が行われていました。しかし、衛星放送やケーブルテレビの発達で伝送路の希少性は薄れてしまいます。インターネットでは放送に類似した映像配信サービスも登場しており、周波数帯の希少性は下がっています。

従来の規制根拠②「放送の特殊な社会的影響力」

従来は放送が持つ社会的な影響力から、メディアが乱立することが避けられていましたが、多メディア化に伴って、放送の影響力は相対的に低下することになりました。

新たな規制根拠「マス・メディアの部分規制論」

新たな規制根拠として現れたのが部分規制論です。憲法学者である長谷部恭男氏は

「放送に対する規制により、社会の中の多様な意見が番組内容に反映することが期待できる。他方、規制を受けない新聞は、放送に対する政府の規制の行きすぎを批判・抑制し、かつ自由なメディアの本来の姿を示すことで、そこから逸脱する放送規制に、より厳格な正当化を要求する根拠ともなる。つまり、相互の均衡を通じて、マス・メディア全体としては、基本情報の社会全体の公平な提供が期待できる」

『テレビの憲法理論』

と言っています。マス・メディアの中でも規制されるメディアとされないメディアがあり、規制されないメディアが規制の行き過ぎを監視するとともに、規制されるメディアとの間に緊張関係が生じることで、言論の多様性の維持に寄与すると考えられているのです。

放送規制が抱える問題

放送規制が抱える問題としてまず内容規制の限界が存在します。行政指導という手段で放送事業者との自主規制を促したり、不透明・非公式な手段で番組面に影響を及ぼしたりすることは困難になっています。

さらにインターネット上には放送類似のサービスが多数現れる一方で、それらに対しては従来の枠組みでは規制が不可能になっています。

次に構造規制の限界です。放送事業者の経営環境の悪化から段階的な規制緩和が続いています。マス・メディア集中排除原則(出資規制など)の緩和などが行われています。

メディアの多様化は進んでいますが、地域メディアをはじめとしてマスコミの経営は厳しさを増しており、情報の多元性や地域性が低下する恐れが指定されています。

残された課題

ここでは現代のマスコミの中に残された課題について確認します。

情報のボトルネック性が消失する中でのコンテンツ規制

メディアが多様化することで情報のボトルネックがなくなり、情報のが氾濫した状況にあります。特にインターネット上を流通するコンテンツの取り扱いや規制監督機関のあり方や第三者機関による自主規制との関係が課題になっています。

「表現の自由」との調和

伝送路ではなく、コンテンツに着目して規制を行う場合、インターネット上を流通する情報に対しては規制が強まる懸念があります。その一方で、情報通信ネットワーク上を流通するコンテンツをめぐってさまざまな問題が発生しています。

情報の「多元性・多様性・地域性」の確保

放送に関しては、従来のようなマス・メディア集中排除原則を中心とする構造規制で対応できるのかについては検証が必要であるとされています。従来型のメディア経営が悪化する中での制度的な対応も課題となっています。