【ルポ】韓国と北朝鮮の境界線はあまりに不気味だった

【ルポ】韓国と北朝鮮の境界線はあまりに不気味だった

編集長のアキです。朝鮮半島南北分断の象徴・北緯38度線付近をツアーで訪れました。この記事は、その様子を綴ったものです。なお写真撮影は基本的に許可されていなかったので文章を通じてお楽しみください。

バスはソウルを抜けて北へ「北」へ

9月中旬。季節は秋への兆しを見せつつある。うらぶれた晩夏の風がバスを押す。

バスはソウル特別市を出発した。ソウルから離れれば離れるほど高層マンションは姿を消していく。

その代わりに、未開発の田園風景が目の前に広がりはじめる。30分もすれば、大都会の面影などない。車窓には青々しい山々と黄海の優美な姿が映り込む。

近づいているな。目の前だ…!

迫る北朝鮮

ソウルから1時間もすれば目の前には朝鮮民主主義共和国、通称・北朝鮮が迫ってくる。

謎の国・北朝鮮。独裁国家であり徹底的に閉ざされた国だ。韓国とは未だに戦争状態にあり、一応の境界線が北緯38度線あたりに引かれている。

軍事境界線付近は非武装地帯になっている。僕らは韓国のツアー会社を通じて、その非武装地帯を訪れることができる。

秘密国家・北朝鮮の姿を韓国側から少し眺めることができるのだ。

非武装地帯に近づけば近づくほど、逆に道路は整備される。周りには何もない。草原と山。それだけだ。そこにただ真っ白な道路が伸びるだけである。

静かすぎて気味が悪い。戦争がもたらした分断は朝鮮半島の中心部に空白の地域をもたらしたのだ。

韓国側の非武装地帯の入り口には「統一橋」と呼ばれる橋がある。ソウル側からこの橋を渡り、非武装地帯に入る。

「統一橋」を渡ろうと思ったが…

「パスポートを準備してください!」

少し日本語の怪しい中年のおばちゃんガイドが叫ぶ。

続けて、「窓から絶対にカメラは取らないで!」

やっぱり日本語が少し怪しい。まあよい。

この「統一橋」を渡れば、そこは「民間人出入禁止区域」だ。許可された人間しかこの区域に入ることはできない。事前のツアー申し込みが必須なのだ。

バスが「統一橋」を渡ろうとして止まった。

どうしたのだろうか。

窓から外をのぞくと高速道路の入り口にあるようなゲートがあった。

ゲートでは数人のごつい若者がバスの行く手を阻む。彼らは迷彩服を着ていた。韓国軍の兵士である。

ここはまさしく戦闘地域なのだ…!

名簿らしき書類を片手にバスに乗り込んでくる。パスポートをチェックしながら、バスを一周した後、兵士はバスを降り、ドアが閉まった。

心なしか、兵士の表情は柔らかい。韓国と北朝鮮の関係は今年に入ってどんどんよくなってきている。今日はちょうど今年に入って3回目の南北首脳会談が行われていた日だった。

南北の関係がよくなっているからこそ、現場の兵士の緊張も少し穏やかなものになっているのかもしれない。僕はそんなことを兵士のゆるやかな表情から思ったりした。

統一橋を渡るバスの車内は静まりかえっていた。

兵士にパスポートを見せるというまさに非日常体験である。

「すごいところに来てしまった」

一片の後悔と大きな好奇心が僕の胸に踊る。

統一橋を渡り、バスは左へハンドルを切る。目指すのは「都羅展望台」

目の前に北朝鮮を望む韓国最北の展望台である。

続く…