国家と民族の関係についてわかりやすく解説します!

国家と民族の関係についてわかりやすく解説します!

この記事では国家と民族の関係について解説しています。1つの民族が1つの国家を持つべきとの考えは今でも根強いものがあります。しかし実態として、1つの民族が1つの国家を作るケースはほとんどありません。

では実際には国家と民族との関係はどうなっているのでしょうか。確認してみましょう。

近代国家の幻想

近代国家は一民族一国家を前提に成立しました。例えば、日本は大和民族によって作られたとかドイツはゲルマン民族によって作られたとする考え方です。

この考え方は国内をまとめるのにとても有効でした。いわゆるナショナリズムです。しかし、このナショナリズムはよく作られた虚構と言えるでしょう。

実際には1つの国家に多くの民族が暮らすのが普通です。日本には日本民族だけではなく琉球民族やアイヌ民族が暮らしています。

また1つの民族が複数の国家を持つのもよくあります。例えば、ドイツ民族はドイツ、オーストリア、スイスの3つの国家を持っています。

以上のように1つの民族が1つの国家を持つことを前提とした近代国家はまさに幻想と言っていいでしょう。

民族と国民

近代国家が1つの民族を前提に成り立つことはないと確認しました。ここから導き出されることがあります。それは国民であるためには同じ民族である必要がないということです。

ここで民族を定義してみると

民族:血筋、言語、歴史、文化などで一体感を持つ共同体

となります。しかしこの定義は非常に曖昧な基準です。民族を判断するのに客観的な基準はありません。

次に国民です。

国民:ある国に帰属することで一体感を持つ集団

となります。国籍が同じであること同じ国民である客観的な条件となります。

これらからわかるように民族と国民は一致しません。

エスニックグループとは何か

民族集団とも訳されるエスニックグループ。民族集団は民族と同じ定義が可能ですが、民族との違いをあえて述べるとエスニックグループは

民族の下位区分、国民国家内の下位区分。マイノリティ

と定義づけられます。

国民国家とは何か

国民国家は自然発生的には生まれません。イデオロギーと政治との連動が必要だからです。そのイデオロギーがナショナリズムです。

政治学はゲルナーによるとナショナリズムは

政治の単位と文化の単位を合致させようとする政治原理

です。ナショナリズムが醸成されるには民族意識を核とした共通の歴史や文化、言語などの共同体意識が必要です。その共同体意識が政治共同体と一致することで「国民」が生まれ、国民国家が形成されます。

国民国家を作るには人々の中に民族意識が重要な位置を占められなければなりません。つまり人々のアイデンティティが民族意識に染められる必要があるのです。

国家と民族の関係

多くの政治学者はナショナリズムを中心に国民を統合する方策について述べてきました。その方策として代表的な考え方を2つご紹介しましょう。

1つ目は政治参加を通じてナショナリズムを作る考え方です。

J.Sミルは

人種・血統、言語・宗教以外に共通の政治的経験(歴史の共有)をすることで政治的つながりが生まれる

と考え、E.ルナンは

「日々の人民投票」を通じて民族概念を超えた政治的連帯感が醸成され、政治的つながりが達成される

と考えました。

2つ目は人々のコミュニケーションが盛んになることでナショナリズムが醸成されるとの考え方です。

その背景には資本主義や産業、文明の発達による人々のコミュニケーション量の増加がありました。

K.W ドイッチュ

経済圏、言語文化共通圏形成されることで共通のコミュニケーション地域が生まれる

と考え、B.アンダーソンは

活字・出版メディアの業界が出現し、言語、文化の共通性が生まれることで「想像の共同体」が形成される

と考えました。

これらからわかるように国家・国民をまとめるには「しかけ」や「きっかけ」が必要になります。その「きっかけ」として代表的なものが建国神話や国語、教育(特に言語と歴史)、民族的紐帯創出、政治参加、動員、徴兵です。

民族や国民は人工的に作り出された概念なのです。