【緩和病棟】高齢化社会における地域包括ケアを考えよう②

【緩和病棟】高齢化社会における地域包括ケアを考えよう②

本稿はリディラバツアーを終えて考えたことです

はじめに

初めてご覧になった方はまず前半をご覧ください

リディラバ】高齢化社会における地域包括ケアを考えよう①

こんにちは。前半に続いて後編です。後編のコンテンツとしては病院見学と後半部分の講義の2つです。病院見学の中には、緩和ケア病棟見学も入っています。それではよろしくお願いいたします。

病棟見学へ出発

前半部分の講義が終わった後、井田病院の施設見学へ。ここでのポイントは、

1 既存の病院のデザイン 

2 西先生が望ましいと思う病院のデザイン (=新しい時代の潮流)

3 緩和ケア病棟の様子

の3点です。

1 既存の病院のデザイン

目線としてはフロアを俯瞰している感じです。真ん中にナースステーションです。

フロアの真ん中にナースステーション。そこから四方に通路が伸びる構造。イメージとしては「バツ」(左図です)。

西先生「病院によくあるこの構造、何に似ているかわかりますか?……刑務所ですね。網走刑務所とかこんな感じの構造です。」

(私:!!! なるほど !!!)

刑務所といえば人を管理する場所の代表です。既存の病院の構造も管理する立場に立って建てられているということなんですね。中央に管理者を置くことによって、入院している人を観察しやすいとのこと。管理する側の哲学に立ったデザインなのです。

2 西先生が望ましいと思う病院のデザイン

管理する側の哲学に立ったデザインの病院では入院者の人たちはやはり管理者(お医者さんや看護師さん)から見えないようなところで過ごそうとする傾向があるんだそうです。

西先生によると

「やはり既存の病院のデザインでは患者さんの過ごし方にあっていないのではないでしょうか。そこで僕は井田病院にあった展望ラウンジのスペースを貰って、『ほっとサロンいだ』を作りました。ここでは色々なパンフレットを置いたり、わざと死角を作ったりしています。『ピンクリボンサークル』や『日本茶を楽しむ会』など色々なプログラムもやったりして。ボランティアの方々にも手伝って貰って、患者さんをはじめ色々な人が交わるような場所が提供できればいいなと思っています。」

3 緩和ケア病棟の様子

初めて入りました。明るい雰囲気です。画像をあげたいのですが、あげていいのかわかりませんのであげません。すみません。

緩和ケア病棟には普通の病棟にはない「庭園」とか「キッチン」(←緩和ケア病棟には設置しなければいけないんですって:家族が手料理を作って上げるため)とか色々、普通の病棟にはないようなものがゴロゴロあります。そこら中に「絵手紙」が置いてあり、廊下には「オーディオ」(←なんと病室にもありました。結構立派なのが。)もあります。病室には「テラス」までついてますし、普通の病室のベッドにあるような医療器具(ベットの頭の方についてるやつ)は逆に緩和ケア病棟にはありません。「生活の場を提供する」という方針をありありと感じました。

西先生によれば

「緩和ケア病棟に入られていた方がおかえりになる時、すなわち亡くなった時は正面玄関からおかえりになります。普通の病棟ですと、病院の正面から出て行くことはまずありません。裏口から出て行くことがほとんどです。やはり、緩和ケア病棟は基本的に入所者の方はこの場所で人生を終える方がほとんどです。家のように迎え、家のように正面の入り口から去っていくのです。緩和病棟にはやはり様々な工夫がなされています。最期まで患者さんが生きていて楽しかったと思わせるような工夫、設備が必要なのです。」

緩和ケア病棟。うーん。ちょっと明るくさせようさせようとしていて、逆に辛いなんてことはないのかな。そう感じました。終末期という極限状態の人はもちろんその人自身も大変だし、終末期の人たちを受け入れる人たちももちろん大変です。

極限状態の人々が交わる空間をデザインするなんて、ある意味、途方も無いことです。それなら明るいほうがいいのか。ちょっと僕には思考が難しいです。非日常すぎるからかもしれません。

後半の講義

後半の講義のテーマは「社会的処方研究所」です。詳しく書くつもりだったのですが、なんと講義のレジュメが見つかりません。困った。このままでは書けない。→ここに書いてあった! 危ない危ない。こちらご参考にしてください。お医者さんが「地域とのつながり」を処方することで問題を解決する。医療の新しい形を示してもらいました。コンサル的でもあるけど、ここまでやってしまうともはや「医者」とか「医療」とかの概念・範囲ってどこまで拡大していくのだろうって。心配というか、純粋に興味があります。

講義の後、質疑応答もあったのですが、

「僕の理念に共感してくれるお医者さんは全体の5%もいるかどうかですね。」

「行政が私たちの理念に共感して、しっかり予算をくれるかどうかは行政側の担当者次第で。だからあまり行政に期待しすぎないほうがいいのです。ちなみに川崎市は割と保守的なので、あまり動いてくれませんね。」

社会を作る

私も叔父がお医者さんでそういう世界には興味がなかった訳ではありませんが、なんとなく惹かれることはなく、結局、政治学科に通っています。なんとなくですけど、病院のような良くも悪くも無機質な空間への抵抗のようなものがあったのでしょうか。そんな中、西先生がやろうとしているのは、ここからは勝手な推測ですが、無機質なものに、「社会」という有機的なものを持ち込もうとしているのではないか。そう感じました。人との交わりを大切に、「病院」「医療」を医者の手から勇気を持って手放そうとしているのではないかなと思いました。(偉そうにすみません)もちろん、病気を直すのが医者だ!という西先生の理念に共感しない派のドクターを否定している訳ではありません。そのようなドクターのおかげで、医療、そして人類は発展してきたのですから。