北の短距離ミサイルは「瀬戸際外交」への「瀬戸際」だ

北の短距離ミサイルは「瀬戸際外交」への「瀬戸際」だ

北朝鮮が短距離ミサイル発射と韓国軍

北朝鮮がミサイルを打ちました。北朝鮮東部の元山から日本海方向へ発射したとのこと。ミサイルは「短距離ミサイル」だそうです。米韓は認めたがっていません。日本の排他的経済水域に入っていないので、確かに短距離ミサイルのようです。

国連制裁に屈しないメッセージをミサイル発射によって示そうとした見方が大きくなっています。それでも国連制裁に違反しない形での発射だそうです。

国連制裁が北朝鮮の国内経済を蝕んでいることは確かです。それを乗り越えるためにミサイルを打つという示威行動をしたということでしょうか。

しかし、これ自体、僕は疑わしい観測であると思っています。このミサイルがいつどこでどのように開発されたものなのでしょうか。もし新しい技術を盛り込んだミサイルなら、国連制裁に負けない姿勢を国内外にも見せつけることができるのでしょうが、そうでないなら、ミサイルの在庫処分と言われても仕方ありません。

また実際に北朝鮮がこのミサイル発射をどのように国内向けに伝えるのか、もしくは伝えないのかに関して議論が必要です。それによってこのミサイル発射を北朝鮮がどのように使いたいのかが見えてくるからです。

国連制裁で疲弊する国内経済ですが、そんな中ミサイルを発射して、偉そうに報道すれば、おいおい勘弁してくれよと絶対の忠誠を誓う北朝鮮国民にも不満が広がってもおかしくありません。

では、なぜこのタイミングで「短距離ミサイル」なのでしょうか。僕はこれはジャブを打っているのではないかと思われます。

北朝鮮の瀬戸際外交の前提として、緊張状態を作り出した時、周辺諸国が注目してくれなければいけません。

今回、短距離ミサイルを使って周辺諸国の反応を伺ってみるのは別に不思議なことではありません。自分がきつくなった時、あえて挑発し、緊張状態を作り出すのは北朝鮮の常套手段です。米朝会談の不発で小康状態にある半島情勢を動かす最初の一歩と考えると合点がいきます。

しかし、核実験やICBMなどであまりに強く挑発してしまうとトランプの出方予測が難しい。2回目の米朝会談でトランプの気まぐれぶりを悟った北朝鮮の政策決定者は短距離ミサイルで手を打ったというところでしょうか。

つまり、この短距離ミサイルはジャブパンチにしか過ぎないわけです。

しかし、トランプとしては「オレのおかげでミサイルが飛ばなくなった」と言えなくなるあたり、ブチギレてもおかしくありません。

この短距離ミサイルを「弾道ミサイル」だったと未だに米韓は認めていません。なぜでしょうか。それはトランプも文在寅も自分のやってきたことが覆されてしまうからです。この2年間、なんとか北朝鮮と対話をした「功績」が水泡に帰してしまう。短距離ミサイルを「弾道ミサイル」を認めることは、2人にとって過去の自分を殺すことになるのです。

当面は米韓の反応次第ですが、北朝鮮がさらなる挑発を仕掛けてきたとき、朝鮮半島問題で極めて合理的に自国の国益を判断する中国とロシアがどのように出てくるのか。安全保障理事会でどのように振る舞うのか。

北朝鮮情勢は再びきな臭さを増してきたのです。