6者協議の開始と北朝鮮問題の混迷

6者協議の開始と北朝鮮問題の混迷

この記事では、北朝鮮問題を解決するために形成された「6者協議」について解説しています。北朝鮮問題の解決が難しくなる中、周辺国は問題解決のために「6者協議」を形成します。

しかし、この6者協議は各国の利害が絡み合い、結果的には北朝鮮問題をより難しくさせてしまいます。今回はこの流れを確認して行きましょう。

6者協議の開始と停滞

北朝鮮は2003年1月にNPTから脱退を発表します。これを受けて アメリカ、中国、北朝鮮による3者協が行われますが、破綻し、6者協議の形成が目指されました。

米朝の2カ国間交渉が不調に終わり続ける経験を踏まえ、複数国による大きな枠組みでの解決が図られました。北朝鮮としてはアメリカとの2カ国間交渉をしたかったが、しぶしぶ6者協議の開催を受け入れました。

2003年8月から6者協議が開始されます。参加国は北朝鮮、韓国、アメリカ、中国、日本、ロシアです。断続的に交渉が行われ、2005年5月に共同宣言が採択されました。この共同宣言が一番重要な声明として認識されています。この声明では北朝鮮の非核化や地域安全保障の枠組みについて極めて具体的なプロセスが盛り込まれました。

これをさらに具体的にしたものが、初期段階の措置と第二段階措置です。これらは現在の米朝交渉よりもかなり進んだ内容となっています。

しかし、この共同宣言採択直後にアメリカ財務省により北朝鮮に対して厳しい金融制裁がかけられました。これに反発した北朝鮮は共同宣言の履行を守らずに、地域の緊張を高める行動を繰り返します。2006年7月にはミサイル発射実験、2006年10月には初めての核実験が行われました。

6者協議が機能していないことを悟ったアメリカは北朝鮮との2カ国間交渉に乗り出します。結果的に2カ国間交渉に持ち込んだ北朝鮮側の成功であると言えるでしょう。

このことから北朝鮮は緊張状態を作り出し、そこから緊張を緩和させることで相手からの情報を引き出す戦略を確立しました。

2009年5月には第2回目の核実験を行い、北朝鮮問題は解決どころか混迷への道を歩んでいくことになります。しかし、同時に北朝鮮国内では大きな問題が発生していました。最高指導者・金正日の健康問題が浮上していたのです。

次回に続く…

【付録】6者協議の共同声明

第4回六者会合は、北京において、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦及びアメリカ合衆国の間で、2005年7月26日から8月7日まで及び9月13日から19日まで開催された。

 武大偉中華人民共和国外交部副部長、金桂冠朝鮮民主主義人民共和国外務副相、佐々江賢一郎日本国外務省アジア大洋州局長、宋旻淳大韓民国外交通商部次官補、アレクサンドル・アレクセーエフ・ロシア連邦外務次官及びクリストファー・ヒル・アメリカ合衆国東アジア太平洋問題担当国務次官補が、それぞれの代表団の団長として会合に参加した。

 武大偉外交部副部長が会合の議長を務めた。

 朝鮮半島及び北東アジア地域全体の平和と安定のため、六者は、相互尊重及び平等の精神の下、過去三回の会合における共通の理解に基づいて、朝鮮半島の非核化に関する真剣かつ実務的な協議を行い、この文脈において、以下のとおり意見の一致をみた。

1.六者は、六者会合の目標は、平和的な方法による、朝鮮半島の検証可能な非核化であることを一致して再確認した。

 朝鮮民主主義人民共和国は、すべての核兵器及び既存の核計画を放棄すること、並びに、核兵器不拡散条約及びIAEA保障措置に早期に復帰することを約束した。

 アメリカ合衆国は、朝鮮半島において核兵器を有しないこと、及び、朝鮮民主主義人民共和国に対して核兵器又は通常兵器による攻撃又は侵略を行う意図を有しないことを確認した。

 大韓民国は、その領域内において核兵器が存在しないことを確認するとともに、1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言に従って核兵器を受領せず、かつ、配備しないとの約束を再確認した。

 1992年の朝鮮半島の非核化に関する共同宣言は、遵守され、かつ、実施されるべきである。

 朝鮮民主主義人民共和国は、原子力の平和的利用の権利を有する旨発言した。他の参加者は、この発言を尊重する旨述べるとともに、適当な時期に、朝鮮民主主義人民共和国への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意した。

2.六者は、その関係において、国連憲章の目的及び原則並びに国際関係について認められた規範を遵守することを約束した。

 朝鮮民主主義人民共和国及びアメリカ合衆国は、相互の主権を尊重すること、平和的に共存すること、及び二国間関係に関するそれぞれの政策に従って国交を正常化するための措置をとることを約束した。

 朝鮮民主主義人民共和国及び日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとることを約束した。

3.六者は、エネルギー、貿易及び投資の分野における経済面の協力を、二国間又は多数国間で推進することを約束した。

 中華人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦及びアメリカ合衆国は、朝鮮民主主義人民共和国に対するエネルギー支援の意向につき述べた。

 大韓民国は、朝鮮民主主義人民共和国に対する200万キロワットの電力供給に関する2005年7月12日の提案を再確認した。

4.六者は、北東アジア地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した。

 直接の当事者は、適当な話合いの場で、朝鮮半島における恒久的な平和体制について協議する。

 六者は、北東アジア地域における安全保障面の協力を促進するための方策について探求していくことに合意した。

5.六者は、「約束対約束、行動対行動」の原則に従い、前記の意見が一致した事項についてこれらを段階的に実施していくために、調整された措置をとることに合意した。

6.六者は、第五回六者会合を、北京において、2005年11月初旬の今後の協議を通じて決定される日に開催することに合意した