アメリカの選挙制度について詳しく解説する

アメリカの選挙制度について詳しく解説する

この記事ではアメリカの選挙制度について詳しく解説していきます。前回の記事ではアメリカの選挙制度の概要をご説明しましたが、今回の記事ではより詳しく内容を深掘りしていきたいと考えています。一緒に頑張りましょう。

有権者の投票行動の主な決定要因

ここではアメリカの有権者がどのように投票行動を決定しているのか。平たくいえばどこに投票するのを決めているのかについて解説してきます。

選挙における有権者の投票行動は政党支持や経済状態、業績評価などさまざまな要因によって決まります。

その中で一番大きな要因が政党支持です。近年では「Independent」=「無党派層」が増えています。しかし、無党派層の中にも「Leaner」と呼ばれるどこかの政党寄りの人が多いことがわかっています。本物の「Independent」(無党派層)は10%ほどと見られています。

次に大きな要因として働くのが選挙の時の景気です。多くの政策課題の中でもひときわプレゼンスが高いのが「経済」だからです。銃規制や人工妊娠中絶などの激しい論争になる政策課題は景気ほどには選挙の結果に影響を及ぼさないのが常識になっています。

連邦議会選挙

議会選挙の特徴

再選率の高さ

現職が出馬した場合、大多数が再選します。知名度や選挙リソースの観点から現職が優位であり、それを踏まえて、挑戦者も出馬を見送るケースが多くなっているからです。

そのため、現職が出馬しない選挙区(open seat)が選挙戦の明暗を分けます。

連邦議会選挙の大きな特徴が再選率が極めて高い点です。下院ではほぼ100%、上院でも80%の再選率を誇ります。

連邦議会では在職年数が高く、連続で在職している人が影響力を及ぼしやすいと考えられています。

現職の知名度の高さ、現職の選挙資金の豊富さによって勝ちやすくなるため、 予備選が激しい選挙区やあまりに現職が強い選挙区ではチャレンジャーが出馬しなくなります。予備選で消耗しない現職の議員はそれだけ選挙資金に余裕が出るので、より勝ちやすくなり、再選率が上がっていきます。

現職が出馬しない選挙区はより接戦になります。負けそうな現職は引退して、チャレンジャーに譲る傾向にあります。

議会選挙における政党関連組織

上下各院に政党毎の選挙対策委員会が設置され、次の選挙での議席数最大化を目標に活動しています。

リーダーシップPACを通じて議会内政党の有力者が自党候補者を支援しています。

リーダーシップは候補者にお金をばら撒くことで当選後の影響力を残そうとしました。アメリカの議員は議員同士で献金したりすることもあります。Open Seats の選挙は盛り上がるので選挙資金も Open Seats の候補者に多くのお金が集まってくることになります。

上院議員選挙と政治家のキャリアパス

上院議員は下院より格上で選挙区の面積が大きくなっています。そのためより大物が立候補し、予備選挙での挑戦も多くなっています。

アメリカにおいて、公職の序列は

地方職<州議会議員<連邦下院議員<連邦上院議員≒州知事<大統領

となっています。

アメリカでは上院議員の方が圧倒的に格上で、上院しか持っていない機能もあります。立法機能に関しては上院・下院は同じです。

上院議員と下院議員の給料は同じで2000万円ほどです。これは議員のポテンシャルから考えれば安いと考えられています。

連邦上院議員を目指そうとするのは下院議員の人や州知事を勤めた人が多いです。地方職はニューヨークやシカゴの一部巨大都市の首長をのぞけば、地位は低いものです。最高裁裁判官は州知事と大統領の間くらいの序列だと考えられています。

下院議員選挙と区割り

国勢調査に基づく区割り変更は州が管轄しています。その結果、ゲリマンダリングが起きたり、人種的ゲリマンダリングの功罪が問題になっています。

アメリカでは選挙区割りは国勢調査に基づいて行われます。州議会自身が行うか州議会が超党派の委員会を作って行うかのどちらかの方策が採られます。

後者では地元のコミュニティに配慮するなどの公平策が取られますが、前者の場合だと州議会主導の恣意的な区割りが行われることがしばしばです。

これを「ゲリマンダー」と呼びます。近年では州議会の多数派を共和党が占めることが多いため、共和党に有利な区割りがされることが多くなっています。ゲリマンダリングの効果によって、有権者の大小を克服して獲得議員数をいじることができるようになります。ノースキャロライナ州やメアリランド州などはゲリマンダリングの代表例です。

ゲリマンダリングには人種に基づく区割りが行われることもあります。議員を輩出しにくい黒人に配慮して、区割りを作り、黒人の議員を連邦議会に送り込もうとするのです。これは一種のアファーマティブアクションです。

これには一定の効果がありますが、良くも悪くも黒人の代表だと思われるため、政治的進出のガラスの天井が出来上がってしまうと考えられるからです。女性の代表とか黒人の代表のような議員は「社会学的代表」と呼ばれています。

選挙と連邦議会における分極化のメカニズム

有権者のイデオロギーと政党支持の合致と多数の無風選挙区の存在があります。

候補者にとって予備選挙の重要性が増大しており、予備選挙の有権者に合わせて候補者が行動するようになっていると考えられています。

支援元の利益団体の影響もあります。

大統領選挙

ここでは全世界の耳目を集まるアメリカ大統領選挙について解説していきます。

選挙の長期戦化とその影響

近年、アメリカ大統領選挙は長期化の傾向を示しています。一般投票の2年前から候補者のさや当てと予備選の前倒し現象が起きるほどです。

大統領候補は初期の予備選で「勝てる」候補という印象を与え、勢いに乗る必要があります。長い選挙戦のために選挙資金を集める必要があるからです。

結果的に予備選挙がより早く行われる傾向にあります。州が争うように予備選挙を前倒ししています。しかし、あまりに早いと本選挙と間隔が空くとの批判もあります。

連邦議会の選挙と比べて、大統領選挙は非常に長期間に渡ります。全国の州で予備選挙が多く行われるからです。候補者にとって、自分の州の予備選挙は早く行われる方が都合がよいです。初期の予備選で勝つことで勢いをつけることが重視されるからです。

最初に勝つことで注目とお金を集めることが何より重要です。資金がないと長丁場の予備選挙を凌ぎきれないからです。

候補者の戦略

予備選においては初期の予備選で成果を出しつつ、どの州を抑えるかを他の候補との関係で決定する戦略が取られています。

一般投票では270の選挙人の確保に集中します。その中でも激戦州でいかに勝つかがポイントになります。

一般選挙ではいかに州を組み合わせることで270人を獲得するのかを検討します。ほとんどの州では民主か共和かが決まっているので、残りの激戦州をいかに戦うのかを集中的に考えます。選挙期間中に訪れる州は両候補でそれほど変わらりません。両者の認識が一緒だからです。
負けることがわかり始めると、負けている方は大技をかけようとします。大統領選挙戦は候補者の組織運営能力を試しているテストでもあると言えます。

大統領討論会などの場で失敗しないことが重要です。