アメリカ政治は利益団体なしには語れない!

アメリカ政治は利益団体なしには語れない!

前提として、アメリカ政治では70年代以降、共和党議員はより保守的に、民主党はよりリベラルになり、両党のイデオロギー的な分極化が進んでいます。

アメリカの利益団体政治の基本的特徴

なぜアメリカでは利益団体が政治的に重要なのか?

利益団体とは社会の中で利害を共有する集団のうち、組織化し政策に影響を与えようとする団体を言います。

ここでは利益団体と利益集団を区別して考えます。
利益集団とはエスニックグループ、ジェンダー、セクシュアルマイノリティなど非常に大きなくくりでの集団です。

利益団体とは特定の利益を実現しようと行動する団体のことです。

具体例としてAARPやNRA(全米ライフル協会)をあげることができます。AARPは最大の会員を持つ利益団体で高齢者の利益を代表する団体で、NRA(全米ライフル協会)は銃規制に反対する団体です。どちらも政治に大きな影響を及ぼしています。

利益団体の中にも組織されているものも組織されていないものもあり、千差万別です。政策の実現や不都合な政策の実現を阻止しようとするのが利益団体の目標です。

利益団体の重要性はアメリカ政治における政党の弱さに比例します。政党が弱ければ弱いほど、政党の意見集約・政策形成機能は薄弱となり、利益団体の重要性がより一層高まります。

政治とは人が何を考えているかを把握し、意見を集約して、政策に落とし込むことが必要ですが、アメリカでは政党がその役割を果たせません。本来の政党の役割を利益団体が補完していると考えられています。

アメリカでは政策ごとに賛否を争って多数派が形成されることに加え、政府の開放性が高いため外部主体が様々な主体に働きかける動機付けが大きくなっています。

利益団体のロビイストが政策ごとに議員に陳情しており、利益団体の活動空間が確保されています。

アメリカでは議員個人が一定の自由を持ち行動するため、議員の意思決定を利益団体が左右するケースが非常に高くなっています。

代表される利益

利益団体によって代表される利益には私的利益と公的利益の二つがあります。

私的利益とはメガネの団体とか労働者の権利保護、関税の設定など一部の人間に対して利益を与える利益のことです。

公共利益とは実現した利益が社会全体に影響をもたらすもののことを言います。例えば排気ガスの規制があります。空気の質がよくなることで社会の構成員全員に影響を及ぼすからです。他にも銃規制の例もあります。銃犯罪の減少によって社会全員に影響を及ぼすからです。

注意したいのは全員が利益を受ける意味での「公共」ではないということです。環境保護や銃規制でも反対派の人には不利益がもたらされるので、あくまで「社会全体」かどうかによる定義です。

完全に私的利益と公共利益が別れるわけではなく、曖昧な部分もあります。

1960年代までにリベラルな公共利益団体が爆発的に増加しますが70年代以降はそれらに対抗して、保守派が対抗組織を作ります。

アメリカで本格的な利益団体が出てくるのは20世紀に入ってからです。初期には財界業界団体、労働組合などが生まれました。私的利益を掲げる団体の中でも社会的な地位や経済力のある団体が利益団体として利益が実現されやすく、初期に利益団体として生まれました。

経済的な利益を追求するものから、1960年代には公共的利益の団体が爆増します。公民権運動の成功や女性解放などに触発されたからです。

成功者を真似した成功者に対する反対派が出現します。リベラルに対する保守派が対抗組織として勃興したのです。

現在は保守リベラルのどちらにも対応する利益団体が存在しています。利益団体の存在がイデオロギー的な分極化の大きな要因として働いています。現在、会員増のために利益団体が会員に対してベネフィットを与えることが増える傾向にあります。

こうしてほぼあらゆる争点について利益団体政治が展開されるようになっています。

利益団体による働きかけの態様

合衆国憲法には政府への請願が権利として認められています。利益団体が政治活動を行うことはまったく問題ではなく、むしろ奨励されています。

対 議会

ロビイングは利益団体の中心的な活動です。政策エリートに対しての働きかけが利益団体の重要な役割です。

基本的に今日では議会に対して働きかけていきます。ワシントンにはプロのロビイストの事務所さえ設置されている。

最も有力なロビイストは元議員です。 議会へのコネクションがあるため、ロビイングがしやすいからです。外国の団体もまたコネクションを利用して、ロビイングをしており、議会とのコネクションが非常に重要です。

利益団体が議員の選挙での勝利をもたらすようなプロフィットを議員に差し出されば、議員は話に乗ってきます。

ロビイングのわかりやすい例は利益団体による政治家への資金提供です。議員は選挙資金の確保のために莫大な資金が必要になります。利益団体が資金提供を行うことで議員の行動を利益団体が決定できる可能性が高まります。

しかし、お金だけでは政治家は動きません。癒着によるイメージ悪化を懸念しているからです。

利益団体による資金提供は話を聞いてもらうためのステップにしか過ぎないのかもしれません。

ロビイングには情報も大切です。そのために専門組織が分立して存在しています。アメリカのシンクタンクが強い要因でもあります。

利益団体はお抱えの専門家がいて、説得力のあるロビイングをするべく研究を行なっています。このように種々の主体が政府に政策を持ち寄ることで社会の発展・改善に資するものになっている側面もあります。

利益団体による政策のアイデアは官僚にとってもメリットになっています。

実際にどのように法案に反映されたのかを検証すれば利益団体が持つ強さがわかり、研究が行われています。

カネは選挙・政治活動資金が多額になることから重要です。ただし選挙資金は連邦選挙委員会(FEC)により規制を受けています。

票を左右できる利益団体は政治家に対する影響力が大きくなります。

利益団体はロビイングを議会・議員スタッフや行政機関にも行います。政策を方向付ける専門知識の提供を政府に対して行います。

対 司法

司法に対しては訴訟支援などを通じて、多くの重要判決に関与しています。意見書を提出することもあります。

特定の利益団体がなぜ当事者適格を持っているのかを証明しないといけないため、訴える主体ではなく、訴訟を起こすために当事者の支援を行い、多くの集団訴訟を行うことが多いです。NAACPやLDFなどが代表的な訴訟です。教育機関での別学の違法性や人工妊娠中絶の適法性を示す。司法にいては利益団体の重要性があります。

囚人のジレンマとしての利益団体政治

利益団体は効果があるかどうか判然としないロビイングになぜ多大なコストを払うのでしょうか。

利益団体の政党化?

利益団体のイデオロギー連合化

政策形成の場面でイデオロギーを共有する利益団体同士が連合し、政策をパッケージにして特定政党に売り込むことがあります。

中でも1994年に『アメリカとの契約』策定への関与は特筆に値します。これによって二大政党の分極化がより一層進んだからです。

利益団体による選挙戦への直接参加

利益団体は候補者の選定や選挙戦にも直接関与するようになります。政党の主役が利益団体であるかのようです。

ただし利益団体はそれぞれ関心が異なり、常に共闘するとは限りません。その例として共和党とティーパーティ運動があります。