アメリカの政治参加ってどんなもんだべ

アメリカの政治参加ってどんなもんだべ

現代アメリカの有権者と政党

投票の傾向

ここでは現代のアメリカの有権者におけるどのような有権者の投票行動の傾向があるのかについて解説していきます。

まず男性が共和党支持、女性が民主党支持の構図が定着しています、また白人が共和党、非白人が民主党の支持傾向があります。

民主党支持をする人たちは黒人系、ヒスパニック、アジア系、高学歴の人たちが多くなっています。

また高所得層の人は共和党支持になっています。高学歴で高所得の人々がどちらの政党を支持しているのかは微妙なところです。

支持政党に明確な差異が認められるのはイデオロギーです。思想として保守の人は共和党、リベラルな人は民主党を支持しています。

イデオロギーと支持政党の一致率は驚異的な数値が現れています。

また、キリスト教福音派の人たちは共和党に圧倒的な支持を得ています。キリスト教福音派とは簡単に説明すると、聖書の言葉がすべて本当であると信じる人たちのことを言います。非常に保守的な思想を持っており、共和党支持に繋がっています。

投票率をめぐって

ここではアメリカの選挙における投票率について確認していきます。まず気をつけたいのが、アメリカでは有権者人口と投票可能人口の数には違いがある点です。

なぜ差が生まれるのかというと、アメリカの有権者は「有権者登録」を行わなければ、選挙で投票できないからです。

この「有権者登録」の制度によってアメリカではすべての有権者が投票できるとは限りません。

なぜ有権者登録の制度が存在しているのでしょうか。これは20世紀初頭に話を戻す必要があります。

20世紀初頭にアメリカは多くの移民が入植しました。その時にあえて有権者登録制度を持つことで、選挙のハードルをあげ、民主主義の質を担保しようとしたのが有権者登録制度でした。現在では8割くらいが有権者登録をして、その8割が実際の投票行動につながっています。

有権者登録制度のために、誰が選挙登録をしているのかが決定的に選挙結果に大きな影響を及ぼします。

アメリカでは18歳で参政権を持つことができます。しかし、参政権を持っていても、投票できない人がたくさんいます。投票できない人の中でも、収監されている人がその代表です。アメリカは収監されている人が世界でトップであり、有権者登録の制度と合わさって、有権者がすべて投票できる権利を持っていないのが特徴的です。

アメリカで最も大きな選挙といえば、大統領選挙でしょう。しかし、その大統領選も盛り上がりを見せているようで、実際はその盛り上がりには非常に疑問が保たれます。

州によっては伝統的に民主党が強い州、共和党が強い州があり、それらの州では選挙をしなくとも、勝ち負けがすでに決まっています。

激戦州と呼ばれる州のみで大統領選挙は盛り上がりを見せるので、選挙中でも本当に選挙が行われているのか疑ってしまうような選挙区も多く存在しています。

盛り上がりを見せるような大統領選挙も投票率を見ると他の先進国と比べてそんなに高いことということはないのです。

個人の属性と政治参加

社会経済的地位

アメリカで政治参加をするには政治参加に必要なリソースを持っていることがマストです。そのリソースとは情報や時間、金銭などです。

これれらのリソースを割ける人が積極的な政治参加が必要になります。結果的に、学歴と所得が高い人がより積極的に政治に参加することになります。そのため、アメリカの中で公平は政治参加が行われているかが疑問視されています。

人種別に見ても投票率には有意な差が認められ、白人よりもマイノリティの方が投票しにくくなっています。

ここ半世紀ほど民主党の方が支持者が多いものの、民主党支持者の方が選挙に行かない・いけない・行きづらい選挙であるため、選挙結果としては民主党と共和党が拮抗する状況になっています。

有権者がどこに住んでいるのかも重要で、民主党が勝ちづらいような分布で支持者が分散しており、民主党が不利になっています。

年齢

アメリカの選挙でも有権者の年齢は大きな影響を及ぼしています。やはり高齢者が有権者の中でもボリュームゾーンになっているからです。

高齢者は政治参加に必要なリソースを持つ上に、高齢者向け政策に高い関心を持ちます。その結果、選挙戦では高齢者向け政策が看板に掲げられることが多くなっています。

アメリカの高齢者には年金と健康保険を失わないようなインセンティブが働いているので、政治参加は高齢者になればなるほど高くなっていく傾向にあります。

その結果、年齢が上がれば上がるほど投票率は大きくなり、共和党支持に傾いています。

近年では、民主党は若者層への支持が広がっていますが、若者の投票率は低いままで、若者層の掘り起こしが大きな課題です。

様々な属性が投票行動にどのくらいの影響を及ぼしているのかを見てきましたが、実際の投票行動は自分ですべて決まるよりも、周りの影響を受けていることも多くなっています。

有権者の動員

アメリカの選挙戦では、候補者側が積極的に有権者を動員=選挙に向かわせて、当選可能性を上昇させる選挙動員が行われてきました。ここではその選挙動員がいかに行われてきたかを確認します。

有権者を動員する側の基本的な考え方

動員を行う側としては、候補者に対する投票の可能性を考慮に入れて動員します。そのため全員に対して等しく動員を呼びかけることはありません。一部の住民に絞って動員します。

その一部の住民とは、自分のところに入れてくれることで選挙結果が変わるような人たちです。動員しがいのある人だけを徹底的に動員するのが基本方針です。

個人レベルで動員をかけるようになっているのがアメリカの選挙の主流です。アメリカには連邦レベルの個人情報保護法がないので、お金さえあれば、色々な名簿を買うことができます。名簿を利用した個人ベースの動員合戦が行われています。

有権者動員の手段

有権者動員の手段としては、電波メディアから個人接触へ回帰しています。これは、名簿を利用した動員合戦が行われていることを鑑みれば、当然のことでしょう。

また、近年ではインターネットの活用も進み、SNSを利用した候補者の活動発疹なども積極的に行われています。

「招待客以外お断りの政治」?

有権者登録の制度や動員合戦などから、アメリカでは積極的に政治に参加しなければ、投票することもままなりません。

その状況を「招待客以外お断りの政治」と呼ぶことがあります。ここではこの政治状況がどのような結果をもたらしているのかについて軽く解説します。

戦略的動員の帰結

アメリカでは、選挙を有利に進めるために、徹底した世論の把握が行われています。世論の動向を確認した上で、候補者は最も票を獲得できると見込まれる政策を掲げて、立候補します。しかし、そのスタンスは一部の選挙結果に影響をもたらすような有権者用の政策にならざるをえません。

政治家が民意を把握して、それに沿った政治をやることはよいことです。しかし、現在のアメリカは徹底的に民意を把握することで、民意が反映されていない政治が成り立ってしまう皮肉な状況に陥っています。

多元主義の夢と現実

現在のアメリカでは政治参加をめぐって対立が激しくなっています。持てるもの=裕福な人たちに有利な政治体制になっているのが、現在のアメリカの政治体制です。