【映画感想文】「工作 黒金星と呼ばれた男」

【映画感想文】「工作 黒金星と呼ばれた男」
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※ネタバレがあるかもしれません。気をつけてください。

朝鮮半島は分断されている。南に大韓民国。北には朝鮮民主主義人民共和国。これら二つの国は建国以来、対立し、競争し合ってきた。

というのは間違ったステレオタイプなのかもしれない。「工作 黒金星と呼ばれた男」はそのことを気づかせてくれる映画です。

「工作 黒金星と呼ばれた男」は、1990年代に持ち上がった北朝鮮の核開発の実態を探るために、北への侵入を命じられた韓国スパイが主人公。

見た感想は、とにかく重い。重すぎる。笑いを取りに来ているシーンなどほとんどありません。2時間30分がとにかく濃密で、しんどい。

でも、実際に南北の対立の策謀は笑えるものではなかったのでしょう。それを忠実にあらわそうと思ったら笑いなんてなくなってしまうのだなと。

朝鮮半島を専攻しているものとして、この映画はよかった。南と北が戦略的に協力関係にあったことを知ったからです。

韓国と北朝鮮はただひたすらに対立していたのではなく、お互いがお互いの足元を見て、戦略的に協力しあっていました。

結果的に失敗してしまいますが、1997年の韓国大統領選の南北協力はその象徴でしょう。劇中でも描かれています。

金大中を当選させたくない韓国の情報機関が北朝鮮に軍事的な緊張状態を高めるように話を持ちかけます。情勢を緊張させることで北朝鮮強硬派の保守候補を有利にさせたいからです。

北朝鮮は軍事的緊張を高める代わりに、南からの金銭的援助を受けようとします。なんだか不思議ですよね。韓国と北朝鮮って対立しているはずなのに裏では協力しあって、自分らの都合のよい状況にしようとしているんですね。

ここに朝鮮半島の面白さがあると思います。同じ民族だからどこかで情がある。でも、対立もしている。その葛藤の中で南と北はお互いに接しあっています。

日本の戦後に比べて、朝鮮半島の戦後史は揺れ動きまくっていて、いろいろなドラマがあります。その一つを重々しく鮮やかに描いたのが「工作 黒金星と呼ばれた男」なのでしょう。

やっている映画館は少ないですが、わざわざ見る価値ありです。

ではでは。